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若いのに歯がグラグラ!?「侵襲性歯周炎」の原因がついに判明

[2025.09.11]

「まだ10代、20代なのに歯がぐらぐらして抜けてしまった…」
こんなケース、実は珍しくありません。この病気の名前は 「侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)」 といいます。進行がとても早く、あっという間に歯を支える骨が溶けてしまう、とてもやっかいな歯周病です。

最近、広島大学の研究グループが、この病気の原因の一つを世界で初めて発見しました。キーワードは 「遺伝子」 です。つまり、「生まれつきの体質が関係している」ということが、科学的に証明され始めたのです。


侵襲性歯周炎ってどんな病気?

一般的な歯周病は、40代以降に多くみられ、ゆっくり進行します。ところが侵襲性歯周炎は、10代後半〜30代前半といった若い年齢で発症し、短期間で進むのが特徴です。

  • 毎日の歯みがきはしっかりしているのに、急に歯が動き出す

  • レントゲンで見ると、奥歯の骨がごっそりなくなっている

  • 親や兄弟姉妹にも似たような症状がある

こんな場合は要注意です。実際、家族で同じ病気になることが多く、昔から「遺伝も関係しているのでは?」と考えられていました。


広島大学が見つけた「原因の遺伝子」

今回の研究で、広島大学を中心としたチームは、「MMD2」という遺伝子に異常があると、この病気になりやすいことを突き止めました。この発見は世界初!
さらに詳しく調べると、異常がある人は「好中球(こうちゅうきゅう)」という免疫細胞の働きが弱く、歯ぐきの中でばい菌と戦う力が落ちていることがわかりました。その結果、歯の周りの骨が一気に壊れてしまうのです。

この研究は医学の専門誌に掲載され、日本だけでなく世界中で注目されています。


遺伝だから防げないの?

「遺伝と聞くと、もうどうしようもないのでは?」と思う方も多いでしょう。確かに、遺伝子自体を変えることはできません。でも、病気を早く見つけて、進行を止めることは可能です!

ポイントは、「早期発見・早期治療」。侵襲性歯周炎は進行がとても早いので、通常の歯周病以上に、こまめなチェックと専門的なケアが必要です。


こんな方は要注意!早めに歯科へ

  • 10代〜30代なのに、歯ぐきが腫れやすい

  • 歯がグラグラしてきた

  • 親や兄弟姉妹が若いときに歯を失った

  • 定期的に歯医者に行っているのに骨が減っている

一つでも当てはまるなら、歯周病専門医や歯周治療を得意とする歯科医院で相談してください。レントゲンや歯ぐきの検査でリスクを見極めることができます。


これからの歯周病治療は「オーダーメイド」の時代へ

今回の発見により、将来的には「遺伝子検査」で発症リスクを調べる時代が来るかもしれません。そうなれば、家族ぐるみでの予防や、より個別化したメンテナンスプランを立てることが可能になります。

私たち歯科医院としては、今できることを一つずつ丁寧に行います。

  • リスクが高い人には短い間隔でのメンテナンス

  • 専門的なクリーニングで細菌のすみかを徹底除去

  • セルフケア指導で毎日の予防をサポート

「まだ若いから大丈夫」ではなく、**「若いからこそ注意が必要」**なのが侵襲性歯周炎です。


まとめ

  • 侵襲性歯周炎は、10〜30代で急速に歯を失う怖い病気

  • 広島大学が原因遺伝子「MMD2」を世界で初めて特定

  • 免疫の働きが弱く、ばい菌に負けやすいことが発症の原因

  • 家族歴がある人、歯が急に動き出した人は早めに歯科へ

  • これからの歯科は、遺伝リスクを考えたオーダーメイド予防の時代へ

若くても油断せず、早めの検診で歯を守りましょう!

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

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