メニュー

保険診療の限界

非外科歯周治療を中心に行う歯周病専門外来は保険外(自費)診療になります。

下記の理由により、現行の保険制度では行うことができません。ご一読いただき、どうぞご理解ください。

1. 保険による歯周病検査・治療の厳格化

保険診療を遂行するためには、保険診療のルールに従った検査、治療の流れを行わなければなりません。その実施のタイミング、その内容が厳格に規制されており、その規制を少しでも逸脱した場合、保険が全く適用されません。残念ながら、臨床的な必要性にそぐわない場合も多くあります。

当院で行う歯周病専門外来の流れ

当院が行う歯周病専門外来の治療の流れは、保険診療で決められている歯周病治療の流れとは異なります。

別ページにでも述べましたが、世界的には非外科歯周治療は科学的根拠(エビデンス)のあるすばらしい治療法です。体に優しい、切らない治療であり、重症であってもほとんどの歯周病を改善させることも可能です。

しかし、保険診療では、非外科歯周治療を何度も繰り返し行う治療法は原則認められておりません。

(参考)「歯周病の治療に関する基本的な考え方(令和 2 年 3 月 日本歯科医学会)より:
「(11)歯周病検査(再SRP、LDDS後)歯周基本治療後に再度SRPなどを行った場合には歯周病検査(再SRP, LDDS後)を行い、その効果の確認を行う。検査結果によって歯周病重症化予防治療、SPTまたはメインテナンスに進むか歯周外科治療へと進むかを検討し、安易にSRPを繰りかえさない
非歯周外科治療は高度な技術を必要とします。残念ながら、どこの歯科医院でも可能というわけではありません。そのため、保険制度では非歯周外科治療を不確定要素の高い診療行為と解釈し、繰り返し行う治療法を認めていないのかもしれません。

2. 治療の限界

治療の選択肢が限られる

国際的な歯周病学会では、毎年最新の治療方法が報告されています。それは、最新の治療法というのは、世界中、日進月歩で発達しているからです。しかしながらそれらの治療法の多くは、健康保険診療で選択が不可能な治療法であり、その恩恵を授かるためには、保険外診療を選択するしかありません。

例えば、抗菌剤の全身的、局所的な使用方法(保険で使用する場合には、厳密な使用法が決められており、当院が行う使用方法とは異なります)、レーザーによる歯周治療(保険未導入)、歯周外科再生療法で使用するエムドゲイン(保険未導入)等があります。

治療期間の長期化

保険診療のルールでは、1回の来院で行うことができる治療内容、治療部位が限定的になるよう指導されているため、そのルールに従う場合、少しずつしか治療を進めることができず、結果として来院回数が増え、治療期間が長くなる傾向が強いです。

一方、自費診療においては、そういった制限がないため、効率よく・無痛で保険治療よりも格段に効果のある歯周病治療を提案・提供することが可能です。

薬剤の制限

治療に使用する薬剤の種類、使用法も健康保険では厳密に決められています。しかしながら、健康保険では適用になっていない種類の薬剤とその用法が国際的に推奨される場合もあります。

例としては、慢性時の歯周病の治療のために抗生物質を服用・局所的に使用することは保険診療では認められていません。

非外科歯周治療への評価が低い

 保険制度では、一つ一つ治療行為ごとに費用が決められています。非歯周外科治療に対する項目もありますが、回数の制限、評価がとても低い設定になっています。

  • 歯科衛生士が行うブラッシング指導:月1回800円
  • 歯石除去:
    前歯  1回目 600円、2回目 300円
    小臼歯 1回目 640円、2回目 320円
    大臼歯 1回目 720円、2回目 360円

歯周病専門外来では、1回の治療に60分から90分の枠でご予約をお取りしております。歯周病治療で最も重要なプラークコントロール(ブラッシング指導)は毎回チェックしていきます。また、精度の高い歯石除去は治療の成否を分ける非常に難度の高い治療法で、時には1本の歯に60分かけて行う場合もあります。

このように、保険制度におきましては非歯周外科治療に対する正しい評価が得られておりません。

保険診療の報酬設定が非常に低いため、保険診療によって歯科医院を経営するためには、一定時間内にできるだけ多くの治療をこなす必要が生じます。患者様一人一人に十分な説明の時間を設け、治療に対する希望や不安をよく聞いて治療のゴールをきちんと共有する歯周病専門外来を、保険内で行うのは実質不可能な状況です。

予防に対する治療ができない

 保険診療では予防処置は基本的に保険外になります。よって、歯周病専門外来で行う、予防のための抗生剤の局所投与は保険内では行えません。重度の歯周病になりますと、歯ぐきの退縮が起こりますので、むし歯になりやすい環境になります。そのため定期的なフッ素塗布が効果的ですが、これも予防処置になりますので保険診療内では行えない治療行為になります。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME