無意識の「食いしばり」から身を守る7つの対策
無意識のうちに歯を食いしばる習慣は、歯や顎への深刻なダメージにつながる可能性があります。本ブログでは「食いしばり」の原因や症状、予防策について徹底的に解説しています。ストレス社会を生き抜くための正しい知識を身に付けましょう。
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はじめに
現代社会のストレスが多い生活環境下で、多くの人が無意識に「食いしばり」をしているようです。食いしばりは歯や歯ぐき、そして顎関節などに重大な影響を及ぼす可能性があるため、早期の対策が求められます。このブログでは、食いしばりとはどのようなものなのか、その原因と症状、対策方法について詳しく解説しています。食いしばりに悩む方は、ぜひこの機会に正しい知識を身に付けましょう。
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無意識の「食いしばり」とは?
無意識の「食いしばり」とは、私たちが日常的に無意識に歯を食いしばってしまう状態のことを指します。多くの人がこの習慣を持っているため、気づかずに行ってしまうことがあります。
食いしばりは、予想以上に強い力で行われており、歯や歯ぐきに損傷を与える可能性があります。さらに、食いしばりによっては思いもよらない症状が引き起こされることもあります。たとえば、肩こりや頭痛がその一例です。
この無意識の習慣のため、食いしばりをしていることに気づかないでいる人もたくさんいます。ストレスや緊張、噛み合わせの悪さが原因とされています。
無意識の「食いしばり」は、体に大きな負荷をかけることがわかっています。食事中に歯を食いしばると、約60kgの負荷がかかります。睡眠中の食いしばりでは、さらにその2倍程度の大きな負荷がかかることもあります。
したがって、無意識の食いしばりは体に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。正しい知識を持ち、適切な対策を行うことが重要です。次のセクションでは、食いしばりの原因について詳しく解説していきます。
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食いしばりの原因
食いしばりは、さまざまな要因によって引き起こされます。主な原因は、精神的要因と物理的要因です。
2.1 精神的要因
ストレスや緊張は食いしばりの主な原因とされています。対人関係やストレスがある場面では、食いしばりが起こりやすくなることがあります。また、ストレスを感じると交感神経が優位になり、口周りの筋肉が緊張して食いしばる状態になりやすくなります。また、ストレスを緩和するために食いしばるという行動も見られます。
2.2 物理的要因
噛み合わせの悪さも食いしばりの原因となります。噛み合わせが不均衡な場合、十分に噛むことができず、脳は噛む力を増すために働きます。その結果、食いしばる力が増してしまうことがあります。
食いしばりは、生活習慣や心理的要因など、複数の要素によって引き起こされる可能性があります。食いしばりによる症状には注意し、適切な対策を取ることが重要です。
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食いしばりによる症状
食いしばりによって引き起こされる症状はさまざまです。以下では、食いしばりによる主な症状について説明します。
お口周りの症状
- 歯の割れや欠け: 強い力がかかることで、歯や詰め物、被せ物が割れる場合があります。特にセラミックの詰め物や被せ物は縦方向の力に弱く、割れやすいです。
- 歯の擦り減り: 食いしばりと歯ぎしりが同時に起こる場合、歯が擦り減りやすくなります。歯のエナメル質同士がぶつかり合い、摩耗や擦り減りが生じます。
- 歯のグラグラ: 歯を支える歯槽骨に負荷がかかるため、歯が揺れ動くことがあります。ただし、他の歯の問題がなければ、食いしばりが改善されるとグラグラ感も改善されるでしょう。
- 歯の移動: 長期間にわたって強い力が加わると、歯が移動することがあります。縦方向の力が続くと、歯が押し込まれ、歯茎に食い込む状態になります。奥歯の押し込みにより噛み合わせがズレ、前歯が前方に開くことで、噛み合わせが悪くなる場合もあります。
- 骨隆起: 顎の骨に力がかかると、骨隆起が生じることがあります。通常は特に問題がなく、そのまま放置されることがほとんどです。ただし、入れ歯の装着や発音に問題がある場合には、摘出することがあります。
その他の症状
- 知覚過敏: 歯の割れや欠けにより、象牙質が露出すると冷たいものがしみたりするなど、知覚過敏が生じることがあります。
- 歯髄炎: 過剰な力が加わると、歯の神経に炎症が起こることがあります。その結果、歯に強い痛みが生じます。
- 歯周病の悪化: 歯周病が存在する場合、食いしばりによって症状が悪化することがあります。
- 顎関節症: 顎関節症の原因の1つとして、食いしばりが考えられます。顎に大きな負荷がかかると、関節がずれたり変形したりして、顎関節症が発生することがあります。
- 口腔乾燥症: 顎関節症が食いしばりを引き起こすと、顎がずれることがあり、唾液腺を圧迫する可能性があります。唾液の分泌が減少し、口腔乾燥症が生じることがあります。
- 虫歯: 食いしばりによって歯に力が加わると、ヒビが入ったり割れたりすることがあります。その結果、虫歯が進行することがあります。
これらの症状が食いしばりによって引き起こされる場合、早期発見・早期対策が必要です。
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食いしばり対策
食いしばりを防ぐためには、以下の対策を試してみることが重要です。
4.1 緊張をほぐすトレーニングをする
- ストレッチを行い、首や肩、腰の筋肉をほぐすことが効果的です。
- 仕事の休憩時間などに短時間でも行うことができます。
4.2 日頃から上下の歯を接触させないようにする
- 唇を閉じたときに上下の歯が接触しないように意識的に離しましょう。
- 長時間接触したままになることが食いしばりの原因になります。
4.3 自律訓練により気分をリラックスさせる
- 薄暗い部屋でリラックスした態勢をとり、腹式呼吸を行います。
- 心の中で「気分が落ち着いている」「利き手が重く感じる」と言葉を唱えることでリラックス感を高めます。
4.4 スプリントを着用して就寝中の食いしばりを抑える
- 専門の歯医者で作られたスプリントやマウスピースを就寝中に装着します。
- これにより、歯へのダメージを軽減することができます。
4.5 噛み合わせの調整
- 噛み合わせが悪い場合には、歯科医院で噛み合わせのチェックと調整を行ってもらいましょう。
- 適切な噛み合わせにすることで食いしばりを改善することができます。
4.6 全身のストレッチ運動
- 首や肩などの筋肉を伸ばす運動を行い、筋肉の緊張をほぐします。
- 食いしばりによる体の不調を改善するためにも効果的です。
4.7 イメージトレーニング
- 自分で上下の歯を接触させないように意識し、リラックスさせることが重要です。
- もし気づいたら意識的に歯と歯を離し、深呼吸をするなどしてリラックスしましょう。
これらの対策を組み合わせて行うことで、食いしばりを予防・改善することができます。食いしばりに悩んでいる方は、まずは自分に合った対策方法を試してみてください。
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専門家に相談するメリット
食いしばりに悩んでいる場合、歯科専門医に相談することは非常に重要です。以下に、専門家に相談するメリットをいくつかご紹介します。
5.1 正確な診断とアドバイス
歯科専門医は、食いしばりの原因や症状を正確に診断し、適切なアドバイスを提供することができます。自分自身で対策を試みる前に、専門家の意見を聞くことで、効果的な方法を見つけることができます。
5.2 個別の治療プラン
専門家は、患者の状態や咬み合わせに合わせて、個別の治療プランを提案することができます。マウスピースの作成や矯正治療など、適切な方法を選択することで、効果的に食いしばりを改善することができます。
5.3 長期的な健康管理
歯科専門医との定期的な診察と相談は、食いしばりによる悪影響を避けるための重要な要素です。専門家との連携により、食いしばりを持続的に管理し、歯や口の健康を維持することができます。
5.4 心理的なサポート
食いしばりは、ストレスや不安などの心理的要因と関連していることがあります。歯科専門医は、患者に対して心理的なサポートも提供することができます。心地よい診療環境を提供し、患者の不安や緊張を軽減することが重要です。
5.5 専門的な技術と知識
歯科専門医は、豊富な経験と専門的な知識を持っています。それにより、より効果的な治療方法や最新の技術を提供することができます。専門家のサポートを受けることで、食いしばりに対する取り組みがより効果的になるでしょう。
食いしばりに悩んでいる方は、ぜひ歯科専門医に相談してみてください。専門家のアドバイスや治療プランに基づいて、食いしばりを改善し、健康な口腔環境を保つことができます。
まとめ
食いしばりは、多くの人が抱える問題ですが、適切な対策を講じることで改善できます。まず、自分に合った対策を試してみることが大切です。しかし、症状が改善しない場合や深刻な状態になる前に、歯科専門医に相談することをおすすめします。専門家の適切な診断と治療プランに基づいて、効果的な対策を講じることで、食いしばりによる悪影響を未然に防ぐことができるでしょう。自分の健康のために、ぜひ早めに専門家に相談しましょう。
よくある質問
無意識の「食いしばり」とはどのようなものですか?
無意識の「食いしばり」とは、私たちが日常的に無意識に歯を食いしばってしまう状態のことを指します。この習慣は、歯や歯ぐきに損傷を与える可能性があり、肩こりや頭痛などの思わぬ症状を引き起こすこともあります。多くの人がこのような習慣を持っているため、自覚していない人も多いのが特徴です。
食いしばりの主な原因は何ですか?
食いしばりの主な原因は、ストレスや緊張といった精神的要因と、噛み合わせの悪さといった物理的要因です。ストレスが高まると交感神経が優位になり、口周りの筋肉が緊張して食いしばる状態になりやすくなります。また、噛み合わせが不均衡な場合、十分に噛むことができずに食いしばる力が増してしまうことがあります。
食いしばりによってどのような症状が現れますか?
食いしばりによって引き起こされる主な症状には、歯の割れや欠け、知覚過敏、歯周病の悪化、顎関節症、口腔乾燥症、虫歯などがあります。これらの症状は、歯や顎関節、口腔全体に大きな負荷がかかることで発生します。早期発見と適切な対策が重要です。
食いしばりの対策にはどのようなものがありますか?
食いしばりを防ぐ対策には、ストレッチやリラックス法、スプリントの使用、噛み合わせの調整、全身のストレッチ運動、イメージトレーニングなどがあります。これらの対策を組み合わせて行うことで、食いしばりの予防や改善が期待できます。専門家に相談し、自分に合った方法を見つけることが大切です。
札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。
- 日本歯周病学会指導医
- 日本臨床歯周病学会指導医
- 日本糖尿病学会協力歯科医
- 日本歯周病学会認定研修施設
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