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歯周病は全身の健康を脅かす! 糖尿病、心臓病、がんとの関係

[2024.05.28]

歯周病は口腔だけの問題ではありません。糖尿病、心臓病、がん、呼吸器疾患など、さまざまな全身疾患と深い関係があることがわかってきました。このブログでは、歯周病と全身疾患の関係を詳しく解説し、適切な歯周病ケアの重要性をお伝えします。

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はじめに

歯周病は、単なる口腔内の問題ではなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼすことが明らかになってきました。今回のブログでは、歯周病と全身疾患との関係について詳しく解説していきます。歯周病の原因や症状だけでなく、様々な全身疾患へのリスク増加、歯周病治療による全身への影響など、口腔と全身の健康が深く関係していることを理解していただけます。

 

歯周病と糖尿病

歯周病と糖尿病は、密接な関係にあります。まず、高血糖状態が続くと、免疫力が低下し、歯周病を悪化させます。一方で、歯周病の炎症によって生じる炎症性サイトカインが、インスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを困難にします。このように、両者は悪循環を生み出します。

 

糖尿病が歯周病に与える影響

糖尿病患者では、免疫力の低下により歯周病菌に対する防御機能が弱まり、歯周病が進行しやすくなります。また、創傷治癒も遅れがちです。糖尿病を適切にコントロールすることが、歯周病の予防と治療にも重要です。

糖尿病患者の歯周病の特徴として、急激な骨吸収、深い歯周ポケット、難治性の壊れた歯肉などがあげられます。定期的な歯科検診と治療が不可欠です。

 

歯周病が糖尿病に与える影響

歯周病の慢性的な炎症は、インスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを困難にします。実際に、歯周病の重症度が高いほど、HbA1cの値も高くなる傾向があります。

一方で、歯周病の治療により、HbA1cの値が改善することも報告されています。歯周病と糖尿病は密接に関係しているため、両方の治療が重要とされています。

 

歯周病と心血管疾患

歯周病と心血管疾患にも深い関係があります。歯周病菌や炎症性物質が血流に入り込むことで、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。また、歯周病による慢性的な炎症が、心血管疾患の発症や進行に関与すると考えられています。

 

歯周病と動脈硬化

歯周病菌やその毒素が血流に入ると、血管内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進行させます。歯周病の重症度が高いほど、動脈硬化のリスクも高くなります。

また、歯周病による慢性的な炎症が、動脈硬化の原因となる酸化ストレスや血栓形成を促進します。適切な歯周病治療により、動脈硬化のリスクを低減できる可能性があります。

 

歯周病と心筋梗塞、脳梗塞

歯周病は、心筋梗塞や脳梗塞のリスク因子の一つとされています。歯周病菌が血液に入り込み、血栓を形成したり、動脈硬化を進行させたりすることで、これらの疾患のリスクが高まるのです。

歯周病の適切な治療や予防が、心筋梗塞や脳梗塞のリスク低減につながることが示唆されています。口腔ケアの重要性が指摘されています。

 

歯周病と呼吸器疾患

歯周病と呼吸器疾患、特に誤嚥性肺炎との関係が指摘されています。口腔内の細菌が気道に入り込むことで、肺炎を引き起こす可能性があります。高齢者や免疫力の低下した人は特にリスクが高くなります。

 

歯周病と誤嚥性肺炎

口腔内の歯周病菌が誤嚥により気道に入ると、肺に感染を起こし、誤嚥性肺炎を引き起こします。歯周病が重症化するほど、肺炎のリスクも高くなります。

また、歯周病による慢性的な炎症が、肺の防御機能を低下させ、感染症に弱くなる可能性があります。歯周病治療と予防が、誤嚥性肺炎の予防につながると考えられています。

 

口腔ケアの重要性

特に高齢者では、口腔ケアが重要視されています。入れ歯の手入れや口腔内の清潔保持、定期的な歯科受診などにより、誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。

介護施設などでは、専門的な口腔ケアプログラムの導入が推奨されており、肺炎の予防につながることが期待されています。

 

歯周病と生活習慣病

歯周病は、様々な生活習慣病とも関係が深いことが分かってきました。メタボリックシンドローム、肥満、がん、骨粗しょう症などの疾患と歯周病には、相互の影響があると考えられています。

 

メタボリックシンドロームと肥満

メタボリックシンドロームや肥満では、慢性的な低grade炎症が存在し、歯周病の発症や進行に関与します。一方で、歯周病による慢性炎症も、メタボリックシンドロームのリスクを高めます。

また、肥満は歯周病の独立したリスク因子であり、体重コントロールが歯周病の予防にもつながります。適切な歯周病治療は、メタボリックシンドロームの改善にも効果的である可能性があります。

 

がんと骨粗しょう症

歯周病による慢性炎症が、がんの発症や進行に関与する可能性があると指摘されています。特に、口腔がんや膵がん、肺がんとの関連が示唆されています。

骨粗しょう症との関係も指摘されており、歯周病による骨吸収と関連が示唆されています。適切な歯周病治療が、骨粗しょう症の予防や進行抑制に役立つ可能性があります。

 

歯周病と妊娠合併症

妊娠中の歯周病は、様々な合併症のリスクを高めることが分かっています。早産や低体重児出産のリスク増加だけでなく、妊娠高血圧症候群や糖尿病性合併症のリスクも高まります。

 

早産と低体重児

妊婦の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを7倍以上高めます。歯周病による炎症が子宮に影響を及ぼし、早産のきっかけとなる可能性があります。

妊娠中の適切な歯周病治療は、早産や低体重児のリスクを低減できると期待されています。出産前の歯科検診と治療が推奨されています。

 

その他の合併症

妊婦の歯周病は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクも高めます。歯周病による炎症が、全身の免疫系に影響を及ぼすためと考えられています。

歯周病治療により、これらの合併症のリスクを低減できる可能性があります。妊娠中の歯周病管理が重要視されています。

 

まとめ

 

歯周病は、単なる口腔内の問題ではなく、糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、メタボリックシンドローム、がん、骨粗しょう症、妊娠合併症など、様々な全身疾患と深い関係があることが分かってきました。歯周病の適切な治療と予防が、これらの疾患のリスク低減や症状改善につながる可能性があります。

口腔と全身の健康は密接に関係しているため、歯科医と他の医療従事者との連携が重要です。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを心がけることで、全身の健康維持につながります。歯周病は決して見過ごせない問題であり、早期発見と適切な対策が不可欠です。

 

よくある質問

 

歯周病と全身疾患の関係は?

歯周病は単なる口腔内の問題だけでなく、糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、がんなど、様々な全身疾患と深い関係があることが分かっている。適切な歯周病の治療と予防が、これらの疾患のリスク低減や症状改善につながる可能性がある。

 

歯周病と糖尿病の関係は?

歯周病と糖尿病は悪循環の関係にある。高血糖状態が続くと歯周病を悪化させ、一方で歯周病の炎症がインスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを困難にする。両者の適切な治療が重要である。

 

歯周病と心血管疾患の関係は?

歯周病菌や炎症性物質が血流に入り込むことで、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まる。また、歯周病による慢性的な炎症が、心血管疾患の発症や進行に関与すると考えられている。適切な歯周病治療により、これらのリスクを低減できる可能性がある。

 

妊娠中の歯周病はどのような影響があるか?

妊婦の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを大幅に高める。また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクも高まる。妊娠中の適切な歯周病治療は、これらの合併症のリスクを低減できると期待されている。

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

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