メニュー

歯周病があっても歯列矯正は可能!知っておくべきリスクと安全な治療条件を徹底解説

[2025.06.19]

歯周病で歯列矯正を諦めていませんか?適切な治療とケアで歯周病があっても矯正治療は可能です。治療時のリスク、安全に受けるための条件、基本治療の流れまで専門的に解説。理想の歯並びと健康な口腔環境を両立させる方法をご紹介します。

 orthodontics-with-gum-disease-risks-and-safe-treatment-guide

はじめに:

歯並びを整えたいけれど、歯周病があるため歯列矯正を諦めている方はいませんか?「歯周病があると矯正治療は受けられない」と思われがちですが、実は適切な治療とケアを行えば、歯周病を抱えた方でも歯列矯正は可能です。しかし、歯周病と矯正治療にはリスクや注意点があることも事実です。このブログでは、歯周病と歯列矯正の関係性、治療時のリスク、そして安全に矯正治療を受けるための条件について詳しく解説します。適切な知識を身につけて、理想的な歯並びと健康な口腔環境の両方を手に入れましょう。

 

1. 歯周病と歯列矯正の関係とは?

 

歯周病と歯列矯正の間には、非常に重要なつながりがあります。歯周病は、歯を支える歯茎や顎の骨に炎症を引き起こす病気で、多くの成人が悩まされている問題です。一方、歯列矯正は、歯の位置を整え、理想的な歯並びを目指す治療法です。しかし、進行した歯周病がある場合、矯正治療はしばしば困難になります。

歯周病の影響

歯周病が存在すると、歯周組織はダメージを受け、次のようなさまざまな問題が生じます。

  • 歯の不安定性: 支えとなる力が弱くなり、歯が不安定になってしまいます。
  • 治療後の課題: 矯正治療を行った後、歯周病の影響で元の位置に戻りやすく、治療の成果が損なわれることがあります。
  • 歯肉の退縮: 歯茎が後退すると見た目に影響を及ぼし、さらに虫歯や知覚過敏のリスクが高まる可能性があります。
矯正治療との関係

遺伝的なリスクに加え、進行した歯周病の患者が歯列矯正を行う際はいくつかの注意が必要です。具体的には以下の点を考慮すべきです。

  • 炎症の悪化: 矯正装置を装着することで、歯周組織にさらに負担がかかり、損傷が進行する危険があります。
  • 清掃の困難さ: 矯正装置があると、歯間の清掃が難しくなり、プラークが溜まりやすくなります。これにより、歯周病が進行するリスクが高まります。
治療のタイミング

歯周病の適切な治療を優先することが極めて重要です。歯列矯正を始める前に、まずは歯周病の治療を受け、歯周組織が安定した状態にしてから矯正治療を検討することが理想的です。以下のステップが推奨されます。

  1. 歯周病の診断: 専門の医師による詳細な評価が必要です。
  2. 歯周病の治療: 炎症を抑え、健康的な状態に回復するための治療を行います。
  3. 歯周組織の安定: 定期的なチェックアップと適切なケアを実施し、安定した状態を維持します。
  4. 矯正治療の開始: 矯正治療に取り組む準備が整ったら、治療を進めます。

このように、歯周病と歯列矯正の関係性を深く理解し、適切な治療方法を選ぶことが非常に重要です。歯周病の進行を抑えながら、健康的な歯並びを手に入れるためには、専門家のアドバイスのもとで治療を進めることが不可欠です。

 

2. 歯周病がある場合の矯正治療のリスクについて

 

歯周病を持っている方が歯列矯正治療を受ける際、注意すべきリスクがいくつかあります。これらのリスクをしっかり理解することで、最適な治療を選択する手助けとなります。ここでは、具体的なリスクをいくつか解説します。

歯周病の進行リスク

管理が不十分な歯周病の状態で矯正治療を行うと、歯周病の悪化につながるリスクがあります。歯が移動することで周囲の歯周組織に圧力がかかり、それにより炎症が生じることがあります。このような状態では、病状の進行が促進される恐れがあります。

  • 炎症の悪化: 矯正器具により歯に力が加えられることで、周辺の炎症が激しくなる場合があります。
  • 歯周組織の損傷: 感染部位の炎症が慢性化すると、歯を支える組織が損なわれ、最終的には歯の動揺や喪失のリスクが高まります。
歯肉退縮のリスク

歯周病を抱える状態で矯正を行うと、歯肉退縮(しにくたいしゅく)が進行する危険性があります。歯が動くことで歯ぐきに過度な負担がかかり、その結果、歯肉が下がってしまうことがあります。これは見た目や健康に悪影響を与える成因となります。

  • 見た目への影響: 歯肉が退縮することで、歯が長く見えることがあり、審美的な問題が生じるかもしれません。
  • 虫歯のリスク上昇: 歯肉の退縮により露出する部分が増えるため、虫歯になるリスクが高まります。特に、これまで隠れていた部分が露出することで、その部分から虫歯が進行しやすくなります。
ブラックトライアングルの形成

歯肉退縮が進むと、隣接する歯との間にブラックトライアングルと呼ばれる三角形の隙間が生じることがあります。これは見た目の問題にはなるものの、健康上の直接的な懸念はありません。しかし、審美的な観点からは注意が必要です。

歯が脱落する危険性

矯正治療と併せて考慮すべき歯周病の最も深刻なリスクは、歯の脱落です。進行した歯周病により、歯を支える骨の密度が減少し、最終的には歯が揺れたり、脱落したりする可能性があります。このリスクを軽減するためには、何よりもまず歯周病の治療が優先されるべきです。

これらのリスクを把握し、適切な治療計画を立てることが、歯列矯正治療の成功に繋がります。歯周病を持っている方は、矯正治療を始める前に十分な検査や先行治療を受けることが極めて重要です。

 

3. 歯周病の患者さんでも矯正治療を受けられる条件

歯周病を持つ患者さんでも、条件を満たせば歯列矯正治療を受けることができます。ここでは、矯正治療を受けるために必要な条件について詳しく解説します。

軽度の歯周病の場合

軽度の歯周病の方は、いくつかの条件を満たせば矯正治療を開始できます。

  • 炎症が最小限であること:歯肉の腫れや出血がほとんどない軽度の炎症状態であれば、矯正装置を装着しても炎症の悪化リスクが低くなります。
  • 継続的な口腔ケア:定期的な歯科医院でのクリーニングや、自身による丁寧なブラッシングが重要です。正しいケアをすることで、治療を進めるための基盤が築かれます。
中等度・重度の歯周病の場合

中等度または重度の歯周病を抱える方は、まず以下の治療を優先する必要があります。

  • 歯周病の治療を最優先:歯周病が進行している場合は、感染のある部分に対する適切な治療や、必要に応じた外科的手術を行うことが重要です。その後、健康状態が回復してから矯正治療を計画します。
  • 骨の再生や移植に関する処置:骨の吸収が見られる場合、歯周組織の再生治療や骨移植を行って、矯正治療に適した環境を整備します。
矯正治療を受ける際の注意点
  • 進行度に応じたリスクの評価:歯周病の進行度によって、矯正治療が与える影響は異なるため、歯科医がレントゲンを用いて歯周骨の状態を詳細にチェックし、最適な治療計画を策定することが欠かせません。
  • 治療期間について:矯正治療には通常1年から3年が必要となり、その間は歯周病の管理を徹底することが求められます。
知識の重要性

歯周病と歯列矯正について正しい知識を持つことは非常に重要です。患者さん自身は自身の歯周病の進行状況を過信せず、必ず専門の歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けるよう心がけましょう。歯周病の改善後に矯正治療を行うことで、歯並びの改善だけでなく、口腔内の健康も向上することが期待されます。

 

4. 矯正治療前に必要な歯周病の基本治療

 

矯正治療を始めるにあたり、歯周病に対する適切な治療を行うことは絶対に必要です。歯周病を無視したまま矯正を進めると、病状が一層悪化する恐れがあります。本記事では、歯周病の基本的な治療プロセスやその重要性をご紹介します。

基本的な歯周病治療の流れ
  1. 徹底した歯のクリーニング - 最初のステップとして、専門の歯科医による細心の注意を払ったクリーニングを受けることが重要です。この工程では、超音波や手用の器具を駆使して歯石やプラークを徹底的に除去します。 - この専門的なクリーニングにより、初期段階の歯周病を改善するための一歩を踏み出します。

  2. PMTCクリーニングの実施 - この次に行うのはPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)です。この処理により、歯の表面を滑らかに仕上げることで、歯垢が再び付着しにくくなります。

  3. 家庭での継続的なケア - 定期的な歯科医院でのクリーニングだけでなく、自宅での歯磨きも大切です。特に、歯間ブラシやデンタルフロスを駆使して細部までしっかりとケアすることが推奨されます。 - 毎日の家庭でのケアは、歯周病の進行を防ぐ鍵となります。

重度の歯周病への対応

もし重度の歯周病にかかっている場合、基本的な治療だけでは充分ではありません。この段階にある患者様には、次のような追加の治療が必要です。

  • 外科的治療の考慮
  • フラップ手術や歯周組織の再生療法によって、深刻な歯周ポケットから歯石や感染源を取り除く施術が必要です。
  • これにより、歯周組織の再生が期待できるようになります。

  • 抜歯の可能性

  • 状況に応じて、問題のある歯を抜く選択も考えられます。抜歯後は、矯正治療に向けてどのようにスペースを管理するかが重要になります。
矯正治療開始のタイミング

歯周病治療が改善された後、矯正治療を始めるタイミングを正確に見定めることが大切です。以下のポイントを参考にして、適切な時期を選ぶことが求められます。

  • 歯周病治療の完了確認
  • 歯周病の治療が完全に完了し、細菌の活動が減少し、歯肉の健康が安定した後に矯正治療に移ることが基本です。

  • 安定した歯周組織の確認

  • 矯正治療に入る前に、歯周組織が安定していることを確認することで、矯正によって生じる悪影響を防げます。

歯周病の基本的な治療は、歯列矯正を受ける際には欠かせないステップです。正しい治療と日々のホームケアを実践することで、健康的で美しい歯並びを手に入れることが可能になります。

 

5. 歯周病と矯正治療を同時に進める方法

 

歯周病を抱える方が矯正治療を受ける際には、慎重な治療方針の設定が不可欠です。これは、歯周病と歯列矯正が互いに影響し合うためであり、次のポイントを考慮しながら進めることが重要です。

軽度の歯周病の場合

軽度の歯周病と診断された方は、矯正治療を進めながら歯周病の管理が可能です。具体的なアプローチは以下のとおりです:

  • 定期的なクリーニング: 専門の歯科医師による定期的な歯石除去やクリーニングを実施し、歯の健康を維持します。
  • 日常的なセルフケア: 毎日、しっかりとしたブラッシングとデンタルフロスの使用を心がけることで、歯垢の蓄積を防止します。
  • 矯正装置の管理: インビザラインなどの取り外し可能な矯正器具を活用することで、歯磨きがしやすくなり、口腔ケアの質が向上します。

このように、軽度の歯周病の場合は矯正治療との併行が可能ですが、患者さんの理解と協力が非常に重要です。

中程度以上の歯周病の場合

中程度以上の歯周病を持っている患者さんは、矯正治療を始める前に歯周病の治療が優先されるべきです。具体的な治療段階は以下のようになります:

  1. 初期評価: 歯周ポケットの深さを測定し、炎症や歯石の状態を詳しく確認します。
  2. 歯周病治療: 外科的手法やスケーリングによって歯周病の進行を防ぐ治療が行われます。
  3. 定期検査とモニタリング: 歯周病が安定するまで、専門医が定期的に状態をチェックします。

この治療プロセスを経ることで、歯周病がしっかりと管理され、矯正治療による炎症の悪化を防止できます。

歯周病と矯正治療を連携するメリット

歯周病治療と矯正治療を効果的に連携させることには、次のような多くのメリットがあります:

  • 歯並びの改善: 歯周病がある場合でも、歯列の整備によって歯磨きが容易になり、更なる歯周病の進行を防ぐことができます。
  • 患者さんのモチベーション向上: 矯正治療により見た目が改善されることで、患者さんの歯の健康に対する意識が高まります。それが効果的なセルフケアを促す動機にもなるのです。
  • 骨の健康を守る: 矯正治療によって噛み合わせが改善され、周囲の骨への負担が減少し、歯周組織の安定を図ることが可能です。

このように、歯周病と歯列矯正を同時に進めることは、長期的な口腔の健康を維持するために非常に重要な方法です。それぞれの患者さんに最適な治療計画を策定し、専門家と良好なコミュニケーションを取ることが求められます。

 

まとめ

歯周病と歯列矯正の関係は深く、両者を適切に管理することが重要です。歯周病が進行した場合、矯正治療のリスクが高まるため、まずは歯周病の治療を優先することが不可欠です。軽度の歯周病の患者さんであれば、矯正治療と並行して歯周病の管理を行うことができます。一方、中程度以上の歯周病の方は、まず歯周病治療を完了してから矯正治療を開始することが推奨されます。このように、患者さんの状態に合わせて治療計画を立てることで、健康的な歯並びを手に入れることができるでしょう。歯科医師と密に連携し、最適な治療アプローチを見つけることが重要です。

よくある質問

歯周病と歯列矯正の関係とは?

歯周病と歯列矯正の間には密接な関係があり、歯周病の存在により矯正治療が困難になる可能性がある。歯周病が進行すると歯の不安定性、治療後の課題、歯肉の退縮などの問題が生じ、矯正治療時の炎症悪化やプラーク蓄積の危険性も高まる。そのため、まず歯周病の適切な治療を優先し、安定した状態を確保してから矯正治療を検討することが重要である。

歯周病がある場合の矯正治療のリスクについて

歯周病を抱える患者が矯正治療を受ける際のリスクには、歯周病の進行、歯肉退縮、ブラックトライアングルの形成、そして最悪の場合は歯の脱落などがある。これらのリスクを十分に理解し、歯周病の状態に応じた適切な治療計画を立てることが不可欠である。

歯周病の患者さんでも矯正治療を受けられる条件

軽度の歯周病の場合、炎症が最小限で継続的な口腔ケアができれば、矯正治療を受けられる。一方、中等度以上の歯周病の患者は、まず歯周病の治療を優先し、必要に応じて骨の再生や移植処置を行ってから、矯正治療に着手するのが望ましい。歯周病の進行度に応じたリスク評価と、長期的な管理体制の構築が重要となる。

矯正治療前に必要な歯周病の基本治療

矯正治療を始める前に行うべき歯周病の基本的な治療には、徹底的なクリーニング、PMTC、そして患者自身による日常的なケアが含まれる。重度の歯周病の場合は、外科的治療や抜歯など、さらに踏み込んだ対応が必要となる。このように、歯周病の改善が完了した後に矯正治療を開始することが重要である。

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

プロフィールはこちら

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME