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歯周病は命取り!? 全身疾患リスクの高い歯の病気とその予防法

[2024.07.18]

 

歯周病は口の中の小さな病気と思われがちですが、実は糖尿病や心臓病、脳卒中などの重大な全身疾患のリスクを高めます。このブログでは歯周病と関連する病気を詳しく解説し、予防法や治療のヒントを紹介しています。歯周病対策は健康寿命を延ばすカギとなる大切な取り組みです。

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はじめに

多くの人々が歯周病と全身の健康の関係を軽視していますが、実は歯周病は深刻な全身疾患を引き起こすリスクがあります。本ブログでは、歯周病と糖尿病、心臓病、脳血管障害などの疾患との関係について詳しく解説しています。歯周病対策のヒントも紹介しているので、ぜひご覧ください。

 

  1. 歯周病が引き起こす深刻な全身疾患

 

歯周病はお口の中だけでなく、全身の健康にも大きな影響を与えることがわかっています。実際、歯周病は他の全身疾患のリスクを高める可能性があります。

歯周病は、歯垢や歯石によって引き起こされる歯ぐきの病気です。歯垢には300種類以上もの細菌があり、これらの細菌が増殖すると有毒物質が発生します。この有毒物質が歯ぐきの血管を通って全身に広がり、さまざまな病気を引き起こしたり悪化させたりするのです。

具体的な全身疾患としては以下のようなものが考えられます:

  • 狭心症や心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 糖尿病
  • アルツハイマー症候群
  • 骨粗しょう症
  • 誤嚥性肺炎
  • メタボリックシンドローム

これらの疾患は一般的によく知られていますが、実は歯周病がこれらの疾患の原因となる可能性があるのです。

特に妊娠中の女性は十分な注意が必要です。妊娠中に歯周病にかかると、早産や低出生体重児のリスクが高まることがわかっています。妊婦が歯周病に罹患すると、赤ちゃんの正常な発育が阻害され早産につながる可能性があり、最悪の場合は命に関わることさえあります。

歯周病は放置すると他の病気のリスクが高まることが分かっています。自覚症状がある場合でも、セルフケアだけでは治療が難しいため、早めに歯科医に受診することが重要です。

治療後も定期的な歯科受診とセルフケアの徹底が重要です。また、特に妊娠中の女性は歯周病に注意を払う必要があり、無料の歯科検診を受けたりする取り組みが行われています。

歯周病は単なる口内の病気ではありません。全身の健康にも大きな影響を及ぼす病気です。そのため、歯周病の予防と治療には十分な注意が必要です。日常の歯と口のケアをしっかり行い、病気のリスクを減らしましょう。

 

  1. 歯周病と糖尿病の悪循環

 

歯周病と糖尿病は相互に関連しており、悪循環を引き起こすことが知られています。歯周病に感染すると、口の中の細菌や炎症物質が血管や唾液と一緒に全身に広がります。その結果、糖尿病の状態が悪化し、さらに糖尿病が歯周病を悪化させるという悪循環が生まれます。

2.1 糖尿病と歯周病の関連性

糖尿病は血糖値を上げるインスリンの働きが低下したり、産生量が低下したりすることで発症します。一方、歯周病はインスリンの働きを阻害するとされ、糖尿病のリスク因子として位置づけられています。

2.2 歯周病が糖尿病を悪化させる方法

歯周病に感染すると血液中に炎症性物質が増加し、糖の代謝が妨げられます。その結果、インスリンの効果が低下し、血糖値が上昇します。また、糖尿病によって唾液の分泌量が減少し、免疫細胞の機能が低下します。さらに、コラーゲンの合成障害が起こり、歯周病の進行を促します。

2.3 歯周病と糖尿病の治療と予防

歯周病と糖尿病の厳密な管理が必要です。以下の対策が重要です。

  • 歯周病の予防や早期治療を行うことで、糖尿病の進行を抑えることができます。
  • 糖尿病のコントロールも重要であり、歯周病の進行を遅らせることができます。
  • 糖尿病の患者は歯周病に特に注意が必要であり、歯医者での受診時には糖尿病手帳を持参し、歯周病の状態を確認することが重要です。

2.4 未来への展望

糖尿病と歯周病の関連性はまだまだ研究中であり、さらなる明確な結果が期待されています。しかし、どちらの病気も互いに関連し合う悪循環を作り出すため、予防と早期治療を重視することが重要です。

 

  1. 誤嚥性肺炎の原因となる歯周病

 

誤嚥性肺炎は、口腔内で増殖した細菌が食べ物と一緒に誤嚥することで、肺の中に炎症が生じます。高齢者や要介護高齢者などでは嚥下反射に障害のある方が多く、口腔内に細菌が多いとそれが肺に入り肺炎の原因となります。歯周病の治療や口腔ケアを行い、口腔内の細菌を減らしておくと、たとえ誤嚥しても、肺炎になる可能性を下げることができます。

誤嚥性肺炎は、高齢者の寝たきり状態を長期化させる原因として重要な疾患であると同時に医療費のかかる疾患なのです。特に入れ歯を使用している場合、細菌がつきやすいため、入れ歯の手入れや調整も重要です。

誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが重要

誤嚥性肺炎は、誤って飲み込んだ細菌が肺に入ることで発症します。高齢者や嚥下反射に障害のある方は、特に注意が必要です。歯周病は口腔内の細菌数を増やすため、口腔ケアを徹底することが大切です。

以下は、誤嚥性肺炎の予防に役立つ口腔ケアのポイントです:

  1. 正しいブラッシング: 歯磨きは歯周病予防に欠かせません。正しいブラッシングの方法を歯科医に相談しましょう。参考に、写真2では4か月間の歯磨き練習によって歯肉の変化が見られました。
  2. 定期的な歯科検診: 歯科医院での定期的な歯科検診は歯周病や口腔の状態を把握し、早期発見・治療につながります。
  3. 入れ歯の手入れ: 入れ歯には細菌がつきやすいため、定期的な手入れと調整が必要です。入れ歯の使用方法や手入れ方法を歯科医に相談しましょう。
  4. 健康な食事: 歯周病予防にはバランスの良い食事が重要です。健康な歯を保つためにも栄養豊富な食品を摂取しましょう。
  5. 嚥下状態のチェック: 食事中だけでなく、就寝中などにも誤嚥が起こることがあります。嚥下に異常があるかどうかを定期的にチェックしましょう。

歯周病の治療と予防は重要

誤嚥性肺炎の原因となる歯周病は、口腔内の細菌数を減らすことで予防することができます。歯周病が進行してしまった場合には、歯周病治療が必要となります。

歯周病の治療は次のような方法が行われます: - 歯垢の除去と歯石の除去 - 歯の根の面の滑択化 - 咬み合わせの調整

歯周病は再発の多い病気とされています。歯周病が治ったとしても、完全に骨が元通りに戻るわけではなく、定期的なケアやブラッシングの徹底が重要です。

そのため、定期的な歯科検診と歯磨き習慣の徹底は大切です。歯科医が患者さんの口腔内の状態を把握し、適切な治療と予防法を提案することが重要です。

総じて、誤嚥性肺炎の予防と歯周病治療は高齢者にとって非常に重要です。口腔ケアと定期的な歯科検診を通じて、全身の健康を保つことを心掛けましょう。

 

  1. 心臓病や脳血管障害のリスクアップ

 

心臓病や脳血管障害は、歯周病と密接な関係があることが研究によって明らかにされています。歯周病の進行によって、歯ぐきに増殖した歯周病菌が血流に入り込み、心臓や脳に到達することがあります。これにより、心臓や脳の組織や血管が歯周病菌に感染し、炎症が引き起こされる可能性があるのです。

具体的な心臓病と脳血管障害のリスクアップ要素を以下にまとめます。

  1. 心臓病- 歯周病が動脈硬化を引き起こす可能性があります。動脈硬化によって、心臓に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすることがあります。これにより、狭心症や心筋梗塞といった心臓病が起こりやすくなります。 - 歯周病菌が心臓の内側に感染すると、心内膜炎を引き起こす可能性があります。心内膜炎は重篤な心臓疾患であり、命に関わることもあります。
  2. 脳血管障害- 歯周病が脳血管障害のリスクを上げることが報告されています。歯周病を患っている人は、そうでない人に比べて脳梗塞にかかりやすいと言われています。 - 脳の血管が詰まったり、心臓から脳へ送られた血栓が血管を詰まらせることがあります。これによって脳血管障害が引き起こされるおそれがあります。

歯周病菌が心臓や脳に与える影響はまだ完全に解明されていませんが、歯周病と心臓病・脳血管障害の関連性は明確です。心臓病や脳血管障害のリスクを低くするためには、歯周病の予防と早期治療が重要です。

意識的な口腔ケアが必要 心臓病や脳血管障害のリスクを下げるためには、日々の口腔ケアが欠かせません。以下に、口腔ケアのポイントをまとめました。

  • 正しい歯磨き:適切な歯磨きは歯周病菌の繁殖を抑えるために重要です。定期的な歯みがきの習慣を持ち、適切な方法を実践しましょう。
  • デンタルフロスや歯間ブラシの使用:デンタルフロスや歯間ブラシを積極的に使用して、歯と歯の間の歯垢や食物のかすを取り除きましょう。
  • 歯科医院での定期的な検診:定期的な検診を受けることで、口腔の状態を確認しましょう。歯周病の早期発見や予防処置を行うことができます。

心臓病や脳血管障害のリスクを下げるためには、口臭や歯のトラブルを予防するだけでなく、歯周病の予防と早期治療にも取り組むことが必要です。適切な口腔ケアの習慣を身につけて、全身の健康を守りましょう。

 

  1. 最新の研究で明らかになった歯周病の影響

 

最新の研究により、歯周病が口腔内の疾患だけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼしていることが明らかになっています。歯周病は以前から他の病気との関連が指摘されてきましたが、最新の研究結果からその関係性がより詳細に明らかになってきました。下記では、最新の研究に基づいて、歯周病がどのような影響を与えるかについて解説します。

5.1 歯周病とアルツハイマー病の関係

最近の研究によって、歯周病とアルツハイマー病との関連性が示されています。歯周病には慢性的な炎症が伴い、この炎症がアルツハイマー病の発症や進行に関与している可能性があることが明らかになりました。さらに、歯周病によって放出される炎症性物質が脳に悪影響を及ぼし、アルツハイマー病の症状が悪化する可能性も浮上しています。

5.2 歯周病と関節リウマチのリスク

関節リウマチと歯周病の関連性も研究されており、多くの研究結果から歯周病の人は関節リウマチのリスクが高いと報告されています。歯周病によって引き起こされる炎症が関節にも影響を及ぼし、関節リウマチの発症を促進する可能性があるとされています。

5.3 歯周病と認知症の関係

歯周病は認知症の原因や進行にも関与している可能性があります。歯周病が引き起こす炎症が脳に悪影響を及ぼし、脳血管性認知症の原因になることが考えられます。また、アルツハイマー型認知症と歯周病の関連性についての研究も進行中であり、歯周病の予防や治療がこれらの疾患のリスクを軽減するために重要とされています。

5.4 歯周病と脳梗塞のリスク

歯周病は脳梗塞のリスクを高めるとされています。歯周病にかかっている人は、そうでない人と比較して脳梗塞になりやすいという報告があります。これは、歯周病によって引き起こされる炎症や感染が血液中に入り込み、脳の血管を詰まらせる可能性があるためです。

5.5 歯周病とがんのリスク

最近の研究では、歯周病とがんの関連性にも注目されています。歯周病によって引き起こされる慢性的な炎症ががんの発生や進行に関与している可能性が考えられています。特に口腔内のがんや消化器系のがんとの関係性について研究が進められています。

 

以上のように、最新の研究結果から明らかになったところでは、歯周病は口腔内の疾患だけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼすことが分かっています。歯周病の予防や早期治療は、これらの全身疾患のリスクを低減するために重要です。日常の歯みがきや定期的な歯科検診を通じて、歯周病を予防し、全身の健康を守ることが大切です。歯周病との関連性が明らかになるにつれ、その予防や治療はますます重要になっています。

 

まとめ

歯周病は単なる口内の問題ではなく、様々な全身疾患のリスクを高めることが明らかになってきました。特に近年の研究では、歯周病とアルツハイマー病、関節リウマチ、認知症、脳梗塞、がんなどとの関連性が指摘されており、その影響の深刻さが浮き彫りになっています。このため、日々の正しい歯磨きやデンタルフロスの使用、定期的な歯科検診などを通じて、歯周病の予防と早期発見・治療に取り組むことが重要です。歯の健康を保つことで、全身の健康も守ることができるのです。歯周病との闘いは、長期的な健康を維持するために欠かせないのです。

 

よくある質問

歯周病はどのような全身疾患を引き起こすのですか?

歯周病は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー症候群、骨粗しょう症、誤嚥性肺炎、メタボリックシンドロームなどの全身疾患のリスクを高める可能性があります。妊婦の場合、歯周病は早産や低出生体重児のリスクも高めます。

歯周病と糖尿病はどのように関係しているのですか?

歯周病と糖尿病は相互に関連しており、悪循環を引き起こします。歯周病が糖尿病を悪化させ、さらに糖尿病が歯周病を悪化させるというように、両者が互いに影響し合っています。適切な管理と早期治療が重要です。

誤嚥性肺炎と歯周病はどのように関係しているのですか?

誤嚥性肺炎は、口腔内で増殖した細菌が誤って吸い込まれることで発症します。特に高齢者や要介護高齢者では、歯周病の治療や適切な口腔ケアが重要です。歯周病の予防と治療により、誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。

歯周病と心臓病や脳血管障害はどのように関係しているのですか?

歯周病菌が血流に入り込み、心臓や脳の組織や血管に感染し、炎症を引き起こす可能性があります。これにより、動脈硬化や心内膜炎、脳梗塞などの心臓病や脳血管障害のリスクが高まります。適切な口腔ケアが重要です。

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

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