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インプラントの歯周病を防ぐ最新対策 - 周囲炎の症状と予防法

[2024.06.10]

インプラント治療後のメインテナンスに注目が集まっています。インプラント周囲炎の症状や原因、対策について詳しく解説。インプラントの歯周病を防ぎ、長持ちさせるためのポイントを確認できます。歯科医療の専門家が徹底的に解説します。

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はじめに

 

インプラント治療後のメインテナンスについて解説したブログです。インプラント周囲炎の症状、原因、予防法、治療法などを詳しく説明しています。インプラントを長持ちさせるためのポイントが分かりますので、インプラント治療を検討されている方や、すでに治療を受けられた方はぜひご覧ください。

 

  1. インプラント周囲炎とは

 

 

インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯茎や骨が歯周病菌に感染して炎症を起こす状態を指します。この状態は、天然の歯でいうところの「歯周病」と同様の疾患です。

インプラントは、人工歯根であり、天然の歯よりも抵抗力が弱いため、感染が進行しやすくなります。したがって、インプラント治療を受けた後は、インプラント周囲を保護するために予防策を重視することが重要です。

インプラント周囲炎は非常に一般的であり、患者の80%、インプラントの50%に生じていると報告されています。また、発生率は患者の28%から56%、インプラントの12%から43%とされています。

インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります: - インプラント周囲の歯肉の腫れや出血 - インプラント周囲のポケットの形成 - インプラント埋入周囲からの排膿 - インプラント周囲の歯肉の退縮 - インプラントの揺れ

以上の症状が現れた場合は、歯科医師にすぐに相談する必要があります。早期の治療が重要です。

インプラント周囲炎を予防するためには、以下のことに注意する必要があります: - 定期的な歯科検診とクリーニングの受診 - インプラント周囲の適切な清掃 - 歯周ポケットブラシやフロスを使用したプラークの除去また、インプラント周囲炎の治療法には、非外科的療法と外科的療法があります。治療方法は症状や進行具合によって異なるため、歯科医師と相談して適切な治療計画を立てましょう。

まとめると、インプラント周囲炎はインプラント周囲の組織が歯周病菌に感染し炎症を起こす状態です。早期の治療や予防策の実施が重要です。定期的な歯科検診やクリーニング、適切な清掃を行い、炎症が進行しないように注意しましょう。

 

  1. インプラント周囲炎の症状

 

インプラント周囲炎は、進行度によってさまざまな症状が現れます。

進行度別の症状

軽度の症状: - 歯茎が腫れており、押すと出血することがあります。

中等度の症状: - 歯茎から膿が出てきて、口臭が発生することがあります。

重度の症状: - 歯茎が下がり、インプラントが露出したり、グラグラしたりすることがあります。また、痛みも感じることがあります。

インプラント周囲炎は初期段階では痛みを伴わないため、自覚症状がほとんどありません。軽度では歯周ポケットに歯垢が溜まり、炎症が起こっていますが、骨の破壊はまだ起きていません。中等度では歯槽骨まで炎症が広がり、膿が出てきます。重度の場合、歯槽骨の吸収により炎症が起こるため、痛みを伴うことがあります。歯茎が痩せてしまい、インプラントが露出し、最終的にはグラグラして抜け落ちることもあります。重度のインプラント周囲炎では、ほとんどの場合インプラントの除去が必要になります。

 

次に、インプラント周囲炎の進行具合や症状の解説を中心に行っていきましょう。インプラント周囲炎は大きく2つの段階に分類されます。

それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。

 

インプラント周囲粘膜炎

「インプラント周囲粘膜炎」は、インプラント周囲炎の初期段階を指します。この状態では、インプラント周囲の粘膜だけが炎症を起こしています。主な症状としては以下が挙げられます。

  • 歯茎が腫れたり赤くなったりすることがあります。
  • 歯を磨いたりした際に出血しやすくなります。

ただし、痛みを伴わないため、自覚症状が少ないのが特徴です。

 

インプラント周囲炎

インプラント周囲粘膜炎が進行すると、「インプラント周囲炎」となり、中期と末期の2つの段階に分けられます。インプラント周囲炎は、炎症が粘膜から歯槽骨に広がった状態を指します。以下に主な症状の例を挙げます。

  • 歯茎が腫れたり出血したりすることがあります。
  • 膿が出ることがあります。
  • 歯槽骨が溶けることがあります。
  • インプラントに違和感や不安定感を感じることがあります。
  • 進行するとインプラントが脱落することもあります。

脱落する段階は末期であり、その他の症状は中期に該当します。

インプラントに起こる歯周病は、「インプラント周囲粘膜炎」と「インプラント周囲炎」の2つの段階に分類されます。

それぞれの症状について確認しましょう。

 

インプラント周囲粘膜炎の症状

インプラント周囲炎の初期段階で、炎症が周囲の歯茎に限定されている状態です。

  • 歯茎が赤く腫れたり、出血が起きやすくなります。
  • ただし、痛みを伴わないことが多いため、自覚症状がほとんどありません。
  • そのため、症状が進行して悪化する前に気づくことが重要です。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が歯茎から歯槽骨まで広がった状態です。

  • 歯茎が腫れたり出血したりすることがあります。
  • インプラントがぐらぐらしたり、脱落したりすることがあります。
  • 炎症が進行すると、歯茎が下がり、インプラントが露出することがあります。
  • さらに炎症が進むと歯槽骨の破壊が進み、最終的にはインプラントが抜け落ちます。
  • 炎症を放置すると、原因菌が血流に侵入し全身に広がる可能性もあります。
  • インプラント周囲炎は、自覚症状が現れにくいのが特徴です。
  • 早期に気づくためには、定期メインテナンスの受診が重要です。

以上がインプラント周囲炎の症状についての解説です。症状の進行度や重症度によって治療法や予防法も異なりますので、定期的なメインテナンスの受診と早期の症状発見が重要となります。

 

  1. インプラント周囲炎の原因

 

インプラント周囲炎は、以下の要因によって引き起こされる可能性があります。

オーラルケアの不足

適切な口内ケアが行われていないと、インプラント周囲炎のリスクが高まります。ブラッシング不足により、インプラント周囲に歯垢(プラーク)がたまり、炎症の原因となることがあります。

喫煙

喫煙はインプラント周囲炎のリスクを高めます。喫煙により血管が収縮し、血流が悪化します。血流の悪化は免疫力の低下を引き起こし、全身に栄養や酸素が行き渡らなくなります。

糖尿病

糖尿病もインプラント周囲炎のリスクを増加させます。糖尿病により免疫力が低下し、感染症に対する抵抗力が弱まります。その結果、歯周病菌に感染しやすくなります。

貧血

貧血もインプラント周囲炎のリスクを高めます。貧血により血流が悪化し、体内の白血球や栄養・酸素が不足します。このため、免疫力が低下し感染リスクが増加します。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりもインプラント周囲炎の原因となります。歯ぎしりによる歯への圧力は、通常の咬合力よりも大きくなることがあります。過度な負荷がかかることで、インプラント周囲にも圧力がかかり、炎症が生じる可能性があります。

インプラント周囲炎の原因はこれらの要素によって引き起こされます。予防するためには、注意深く口内ケアを行い、これらのリスク要素に注意することが重要です。

 

  1. インプラント周囲炎の予防

 

インプラント周囲炎を予防するためには、以下のポイントを守ることが重要です。

徹底したセルフケア

インプラント周囲炎の主な原因は歯周病菌です。毎日の丁寧なブラッシングは、歯周病を予防するために重要です。歯の表面だけでなく、歯と歯茎の間もしっかりと磨くことを心がけましょう。特にインプラントの根本部分を丁寧に磨く必要があります。ブラッシング指導を受けることもおすすめで、自己流では効果が不十分な場合があります。

定期的な歯科医院でのメンテナンス

インプラント治療後は、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けることが重要です。歯科医師によるチェックを受け、プラークや歯石などの汚れをしっかりと取り除きましょう。自分自身では落としきれない汚れも、専門の医療スタッフが除去してくれます。

生活習慣の改善と全身の病気の管理

インプラント周囲炎を予防するためには、生活習慣の改善や全身の病気の管理も重要です。特に喫煙はインプラントにとって高いリスク要因となるため、禁煙を検討しましょう。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合は、対策を講じることも大切です。糖尿病や貧血などの持病がある場合には、内科主治医の指示に従って病気を管理することが重要です。

これらの予防策を守り、定期的な歯科医院でのメンテナンスを受けることで、インプラント周囲炎のリスクを抑えることができます。インプラント治療を検討している方は、予防方法を理解し、歯科医師と相談することをおすすめします。いつまでも快適な口腔環境を保つために、予防に力を入れましょう。

  1. インプラント周囲炎の治療法

インプラント周囲炎の治療方法には、非外科的治療と外科的治療の2つがあります。それぞれの治療法には以下のような特徴があります。

非外科的治療

非外科的治療では、手術を行わずに治療を進めます。以下に、非外科的治療の主な方法をご紹介します。

  1. 歯石除去: 周囲の歯石を取り除き、細菌の繁殖を抑えます。
  2. 歯周ポケット内洗浄と薬剤の注入: 歯周ポケットを洗浄し、抗菌薬を注入することで炎症を抑えます。
  3. 抗生物質の投与: 一定期間抗生物質を服用し、炎症を抑えます。
  4. 歯磨きや生活指導: 正しい歯磨き方法や生活習慣の指導を行い、日常のケアをサポートします。

これらの治療によって、インプラント周囲の炎症を抑え、回復を促します。また、患者さん自身も自宅での歯磨きや生活習慣の改善に取り組む必要があります。

外科的治療

骨の吸収が進んでいる場合や、非外科的治療が効果が見られない場合には、外科的な治療が必要です。外科的治療では、以下の方法が行われます。

  1. アプローチのための歯肉切開: 歯肉を切開し、インプラントに直接アクセスします。清掃や殺菌を行います。
  2. 骨再生: インプラント周囲の骨の吸収が進んでいる場合には、骨移植やメンブレンを用いた骨再生手術が行われます。

これらの外科的治療により、インプラント周囲炎の症状を改善し、炎症を抑えます。ただし、必ずしも治癒するわけではありません。重症の場合には、インプラントの摘出が必要になることもあります。

以上が、インプラント周囲炎の治療法の概要です。治療方法や費用は、病状の進行具合によって異なります。早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。定期的な歯科検診や適切な口腔ケアを行うことで、インプラント周囲炎の発症を予防することができます。

まとめ

インプラント周囲炎は、インプラント治療を受けた人にとって重大な問題となります。早期発見と適切な治療が鍵となります。定期的な歯科検診やセルフケアを徹底し、リスク因子を避けることで、インプラントの長期的な健康を維持できます。また、症状が進行した場合でも、治療の選択肢があるため、早めに歯科医に相談することが重要です。インプラントは長期的に使用できる治療法ですが、継続的なメンテナンスが不可欠です。インプラント周囲炎の予防と治療について、自分に合った方法を見つけることが大切です。

よくある質問

インプラント周囲炎とはどのような状態ですか?

インプラント周囲の歯茎や骨が歯周病菌に感染して炎症を起こす状態を指します。人工歯根であるインプラントは天然の歯よりも抵抗力が弱いため、感染が進行しやすくなります。早期発見と予防が重要となります。

インプラント周囲炎の主な症状はどのようなものですか?

軽度では歯茎の腫れや出血、中等度では膿の出るようなこと、重度では歯茎の下がりやインプラントの揺れなどが見られます。初期では自覚症状に乏しいため、定期的な検診が大切です。

インプラント周囲炎の主な原因はどのようなことですか?

適切なオーラルケアの不足、喫煙、糖尿病、貧血、歯ぎしりなどが主な原因とされています。これらのリスク要因に注意を払い、予防に努めることが重要です。

インプラント周囲炎の治療法にはどのようなものがありますか?

非外科的治療として歯石除去や薬物療法、外科的治療として歯肉切開や骨再生手術などがあります。症状の進行具合に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

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