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「動物も歯が命」 小児歯科医が見た動物たちの口の中

[2023.03.21]

札幌 歯周病・予防歯科、院長の山崎英彦です。

長年動物たちの健康を歯から見つめる小児歯科医の岡崎好秀先生(通称おかどん)が動物たちの歯についての面白い話を書かれていました。

 

中国3千年を誇る人相学に、面白いことが書かれていました。  

額は初年運を表します。「額の広い子どもは、将来賢くなる」とよく言います。目から鼻は中年運を表します。中年は人生において一番仕事のできる時期なので、目が輝いているかどうかを見るのでしょう。  

一方、口元は晩年運を表すのです。年を取っても噛める歯があれば、老いてますます意気盛ん…ということなのです。硬い食べ物しかなかった古代人にとっては、まさに「歯が命」であったのでしょう。現代では、歯科医院での定期健診で噛める歯を維持できれば、晩年運はOKといえるのかもしれません。  

さて現在、日本人の平均寿命は男性約81歳、女性は約87歳(2020年)。65歳以上人口が、全国民の21%を超える超高齢社会となっています。  実はこの高齢化は、人間社会だけでなく、動物園の動物の間でも進んでいます。  

ある動物園のベンガルトラは、人間の年齢に直すと100歳を超えていますが、元気です。このベンガルトラが元気で長生きできる背景には、食べ物や飼育環境の改善など、現場の方々のたゆまぬ努力があったのでしょう。  

一方、獣医師から見ると、動物の間でかつては見られなかった病が増えているそうです。その一つが、歯に関するものです。  

歯周病などで歯を失うことは、寿命に影響します。これは動物も同じ。大型肉食獣などは、全身麻酔をして定期健康診断を行うのですが、その時に歯石の除去なども行っています。  

動物園では、昨日まで元気だった動物が、翌朝には死んでいることがあります。そもそも野生動物は、どれだけ体調が悪くても、他の動物に気付かれるようなことはしません。  気付かれると殺されるからです。  

例えばライオンは、弱ったシマウマから襲います。当然、動物園の動物も同じ習性を持っています。きっと亡くなった動物たちは、体調が悪くても最後まで我慢して息絶えたのでしょう。

獣医師からすれば、具合の悪さにもっと早く気付いてやることができれば、助けられたのではないかと考えます。  では、どこを見れば体調の悪さが分かるのでしょうか?  それは“食欲”です。  

そもそも自然界には食物が少ないので、食欲がないというのは、かなり体調が悪いことを意味します。  では、食欲がない動物がいたら、まずどこを見るのでしょうか?  それは“口の中”の状態です。  

動物園の高齢のあるカバが、数年前の秋に食欲をなくしました。口の中を見ると、下あごの歯ぐきが歯周病で腫れ、赤くなっていました。どうやら噛むと、上の歯が当たって痛むようです。  

そこで獣医師は、安全に気を付けながら、金属製のヤスリで歯を削りました。すると痛みがとれ、カバは食欲を取り戻して元気になりました。  また、歯周病のため、臼歯と臼歯の間にたくさんの草が詰まっていました。これを取り除かないと、また具合が悪くなります。そこで獣医師と飼育係は毎日、大型のピンセットで歯に詰まった草を取り除き、歯ブラシで磨いています。  おかげでこのカバは現在も元気で、大きな口を開け、子どもたちを楽しませています。  やはり、動物の世界でも“歯が命”なのです。

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