札幌 歯周病・予防歯科 | 歯周病専門医・指導医の山崎 英彦 院長ブログ 2021年1月
歯磨き後の口はすすがない方が良いのか?
札幌 歯周病・予防歯科、院長の山崎英彦です。
フッ素効果を発揮させるには歯磨き後の口はすすがない方が良い?
歯磨き後の口はすすがない方が良いという、驚くべき記事がありました。
一部では『歯磨き後に口をすすがないのは常識的』という意見もありますが僕は知りませんでした
さて、では何故すすがない方が良いのでしょうか?
それは、『歯みがき粉に含まれる「フッ素」が歯磨きの短い時間では歯にしっかりと吸着しないから』です。
ですからフッ素をしっかりと吸着させるためにも歯を磨いた後にすすがない方が良いというのです。
日本で販売されている歯磨き粉は、薬事法の関係でフッ素濃度が1000ppm以下と定められています。
ですが、使用後必要以上にうがいをしてしまうとフッ素の濃度が薄まり効果がない数値まで落ちてしまいます。
ある専門家が言うには「口をすすぐことによって、歯みがき粉に入っているフッ素が流れ出てしまいます。
歯を保護するには、フッ素が吸着するまで数時間おいた方がいいです」とのこと。
注意しなくてはいけないのは『子どもには良くない』ようです。
なお、フッ素入り歯磨き粉の効果を最大限に引き出すには『イエテボリ法』が良いとの事。
その方法は
1、歯磨き材は1.5グラムくらいつける。子供は少なめ2、2分~3分間磨く
3、うがいは10ミリリットルの水で行なう。口中にフッ素が行き渡るように
4、歯磨き後2時間は飲み食いしない
こんな感じです。詳しく知りたい方は『イエテボリ法』で検索して下さい。
歯科医が警告!「虫歯の放置」でリスクが高まる意外な病気3つ
札幌 歯周病・予防歯科、院長の山崎英彦です。
家事に育児にと忙しい毎日を送っていると、ついつい我慢して虫歯を放置してしまいがちですよね?
とはいえ、虫歯の放置は単に歯の健康が損なわれるだけでなく、より深刻な病気の原因になる恐れもあるんです!
■1:蓄膿症
まず最初は蓄膿症。
蓄膿症とは鼻の奥に広がっている空洞(副鼻腔)の炎症が、慢性的に治らなくなってしまった状態を言います。
鼻詰まりや頭痛などを引き起こす病気でもありますが、虫歯の放置でも一見関係のなさそうな蓄膿症になってしまうリスクが。
普通、歯の根元は骨の中に埋まっていると言います。
しかし上の奥歯の一部が鼻の奥の空洞(副鼻腔)まで突き出しているケースがあります。
もし、突き出した奥歯の神経を抜いていた場合、その歯に虫歯が再発して根元が膿んだまま気づかずに放置すると、突き出した部分の膿によって蓄膿症(歯性上顎洞炎)になってしまうリスクがあります。
風邪でもないのに鼻詰まりが治まらない、鼻水が止まらないといった場合は、虫歯が原因かも!?
■2:敗血症と感染性心内膜炎
次は敗血症と感染性心内膜炎。
虫歯や歯肉炎、歯周炎を放置すると、炎症部分から血の中に細菌が入り込んでしまう可能性もあります。
普通、血の中は無菌状態で、菌が入ってきても白血球が撃退してくれます。
しかし慢性的に血の中に菌が入り込む状態(菌血症)が続き、プラスして何かの理由で体の抵抗力が弱ったときは敗血症になってしまう恐れも。
敗血症とは血液に入った細菌のせいで中毒症状が起きたり、体中の臓器にトラブルが起きたりする深刻な病気。
さらに菌血症や敗血症は、感染性心内膜炎を引き起こすリスクの1つとも知られています。
感染性心内膜炎とは、心臓の内側や弁に細菌が巣くって、心臓の働きが悪くなってしまう病気です。
■3:骨髄炎
歯の根元は骨の中に埋まっていると先ほど触れましたが、虫歯を放置し細菌がどんどん歯の深い部分を侵していくと、最終的にはあごの骨などにまで達し、骨髄炎という病気になるリスクも。
骨髄炎とは骨の中心にある骨髄に細菌が入って、炎症が起きてしまう病気です。
初期症状としては虫歯の痛みに始まって、あごの骨まで激しく痛む、歯が揺れるなどが挙げられます。
治療のためには入院しなければならず、場合によっては手術も必要になることもあります。
以上、虫歯の放置で起きるかもしれない病気のリスクを紹介しましたが、いかでしたか?
虫歯や歯周病の有無に関係なく歯科医院に健診に訪れて、早期発見・治療を心掛けたいですね。
歯石で考古学のナゾがわかる? 骨や歯の25倍のDNA情報が
札幌 歯周病・予防歯科、院長の山崎英彦です。
歯周病の原因となる「歯石」。
食事のたべかすや細菌が、歯の表面や歯根部分に被膜をつくったものを「歯垢(しこう)」といいますが、実は抗生物質でも死なないくらい強力な被膜を作ります。
最近の研究では、歯垢や歯石が糖尿病などの間接的な原因になっていることも指摘されています。
ですから、丁寧に歯を磨いて歯垢を落とすのは、健康を守る上でとても重要です。
きちんと歯みがきをしないと、唾液の中のリン酸カルシウムによって、歯垢は石灰化し、歯石となります。
で、歯科医院の超音波歯石除去装置のお世話になるわけですが、歯科医にとってはにっくき存在である歯石は、考古学者にとって貴重な研究材料であることがわかったそうです。
遺跡を発掘した際に、見つかる骨や歯は、様々な遺伝情報を含んでいます。
それらを解析することによって、遺骨がどのような人で、生前どのような生活をしていたのか、また、進化の過程、どのような場所から移動してきたのかなどを知るために、極めて貴重な情報を得ることができます。
ところが、研究を進める上で大きな問題が。
遺伝子を抽出する際には、骨や歯を粉砕しなければなりませんが、多くの国では、宗教上の理由や思想心情によって、骨や歯を粉砕するのは嫌がられることが多いそうです。
考古学者の悩みの種なのだそうですが、『アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジカル・アンスロボロジー』に公開された研究結果によると、遺骨の歯石は、骨や歯よりも遺伝情報を25倍も含んでいるとのこと。
しかも、食べかすや、生前に存在した菌を閉じこめていますから、遺跡から発掘された方が、生前どのようなものを食べていたかが非常にわかりやすいことを、北米イリノイ州のノリスファームズ遺跡に埋葬されていた遺体から歯石を採取。
歯石に含まれているものは、大半が細菌で、その人のDNAは1%ほどしか含まれていません。
しかしながら分析に必要なものは、わずか20mgの歯石だったといいます。
このことから、北米の先住民族がどのような移動をしたのかといったことの分析が大きく進歩しそうですが、ひょっとしたら、歯垢や歯石が犯罪捜査に使うなど、別の分野でも応用がききそうですね。