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サイナスリフト手術の全知識 - インプラント治療のカギを握る重要な手技

[2024.11.03]

インプラント治療に欠かせないサイナスリフト手術。その概要から手順、費用、メリット・デメリットまで徹底解説します。骨量が不足している方の新たな希望になる手技を、専門家の視点からわかりやすく紹介しています。

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はじめに

インプラント治療を受けたい方の中には、骨の厚みが十分でない場合があります。そのような場合、インプラントを埋め込むための骨造成手術が必要になってきます。本ブログではそういった骨造成手術の一つである「サイナスリフト」について、その概要や手順、費用、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

  1. サイナスリフトの概要

     

サイナスリフトは、上顎部のインプラント手術において骨量不足を解消する手術方法です。

1.1 インプラント治療における骨量不足の問題

インプラント治療では、人工の歯根を使用して歯を固定します。しかし、上顎部の骨の厚みが足りない場合は、インプラントの固定が難しくなります。そのため、サイナスリフトという手術が必要になります。

1.2 サイナスリフトの手術方法

サイナスリフトでは、上顎洞の底部に骨補填材を使用して骨量を増やす再生療法や骨移植の方法が用いられます。通常、上顎部の骨が薄くなっている状態で手術が行われます。

1.3 サイナスリフトの適用ケース

以下のようなケースでサイナスリフトが適用されます: - 骨の厚みが5mm未満の場合 - 大面積で多数の骨が欠損している場合

1.4 サイナスリフトの重要性とリスク

サイナスリフトは、インプラント治療を希望する方の骨の高さが足りない場合に重要な治療法です。しかし、手術にはリスクや失敗の可能性があるため、適切な医療施設や専門家の指導のもとで行うことが必要です。

次の項目では、具体的なサイナスリフトの必要性について詳しく説明します。

 

  1. サイナスリフトが必要な理由

インプラント治療に必要な十分な骨量がない場合

インプラント治療を希望する方は、まず充分な量の骨がなければ治療を行うことができません。骨量が足りない場合、インプラントが適切に固定されず、治療の成功率が低下する可能性があります。そのため、サイナスリフトなどの骨造成手術が必要になります。

上顎の骨が厚さ不足のため固定が難しい場合

上あごの骨が厚さ不足の状態では、インプラントの固定が難しくなります。骨が薄いと、インプラントが正確な位置に埋め込めず、安定性が低下する可能性があります。そのため、骨を増やして厚くするためのサイナスリフトが必要になります。

サイナスリフト以外の方法では対応が難しい症例

他の方法では対応が難しい症例にも、サイナスリフトが有効です。ソケットリフトやGBR法といった方法もありますが、これらは骨量が少ない症例に適しています。一方、サイナスリフトは広範囲で骨を造成できるため、より多くのインプラントを使用する場合に適しています。

インプラント治療を希望する方にとってのメリット

インプラント治療を希望する方にとって、サイナスリフトは大きなメリットをもたらします。骨を増やすことで、インプラントが安定固定され、治療の成功率を高めることができます。また、骨を広範囲で造成することができるため、長さのあるインプラントの使用や治療中のトラブルに柔軟に対応することが可能です。

 

  1. サイナスリフトの手順

サイナスリフトの手順は以下のようになります。

  1. 麻酔の投与: ペインレスな手術を行うため、患者には局部麻酔が投与されます。
  2. 歯茎の切開: 歯肉の側面を切開し、歯茎を露出させます。この切開には、ミニスキャルペルなどの専用の手術器具が使用されます。
  3. 骨にアクセス: 歯肉を切開した後、歯槽骨にアクセスします。骨を露出させることで、手術が進行しやすくなります。
  4. シュナイダー膜の剥離: 上顎洞の底部にあるシュナイダー膜と呼ばれる粘膜を剥離します。この剥離には、骨剥離器やラインルーターなどの器具が使用されます。
  5. 骨補填材の挿入: 上顎洞に骨補填材を挿入します。最も一般的な骨補填材は人工骨ですが、自家骨や異種骨なども使用されることがあります。
  6. 骨の定着: 挿入された骨補填材が十分に定着するまで待ちます。通常、骨の定着には数ヶ月以上の時間がかかる場合があります。
  7. インプラントの埋入: 骨補填材が十分に定着した後、インプラントを埋入します。インプラントは人工歯根であり、骨にしっかりと固定されることで、安定した噛み合わせが可能となります。
  8. 傷口の縫合: インプラントの埋入後、傷口を縫合します。縫合には吸収性の糸が使用され、数週間後に自然に溶けてなくなります。
  9. 経過観察: 手術後の経過観察が重要です。定期的に歯科医院を受診し、インプラントおよび周囲の組織の状態を確認します。

サイナスリフトの手順は慎重かつリスクを最小限にするために、経験豊富な歯科医師によって行われることが重要です。患者の状態や骨の厚みなどに合わせて手術計画が立てられ、手術が進められます。手術後は、適切なケアと経過観察が行われることで、成功率を高めることができます。

 

  1. サイナスリフトの費用

サイナスリフトの費用は、病院によって異なります。一般的な費用相場は、20万円から40万円程度です。ただし、手術の難易度や必要な骨補填材の量によっても費用は変動しますので、個別のクリニックで相談することが良いでしょう。

また、サイナスリフトは公的医療保険の適用外のため、自由診療となります[^1^]。手術には高度な技術が必要であり、使用する骨補填材も高価なものが使われることから、費用が高額になる傾向があります。

さらに、トータルフィー制度のインプラント治療の場合は、サイナスリフトの費用がインプラント治療費に含まれていることもあります[^1^]。

このように、サイナスリフトの費用は様々な要素によって影響を受けるため、具体的な費用についてはクリニックにお問い合わせいただくことをおすすめします。

 

  1. サイナスリフトのメリットとデメリット

サイナスリフトは、歯周病や虫歯によって骨が細くなった方でもインプラントが入れられる治療法です。以下に、サイナスリフトのメリットとデメリットを紹介します。

サイナスリフトのメリット

  1. 骨が薄い方でも手術を受けられる: サイナスリフトは広範囲の骨造成が可能であり、骨が薄くなっている方でも治療が受けられます。このため、複数本のインプラントを広い範囲に入れる場合に適しています。
  2. 広範囲の治療に向いている: サイナスリフトは多くの歯を失った広範囲の症例に適しています。広範囲な骨造成が一度に行えるため、治療効率が高くなります。
  3. 粘膜の損傷リスクを低く抑えられる: 上顎の粘膜を確認しながら治療ができるため、上顎洞粘膜損傷のリスクを低く抑えることができます。

サイナスリフトのデメリット

  1. 手術範囲が広いため、痛みや腫れが出やすい: サイナスリフトは手術範囲が広くなるため、痛みや腫れが強くなる可能性があります。適切な鎮痛剤の使用や安静な状態の保持が重要です。
  2. 費用が高額: サイナスリフトは難易度の高い手術であるため、費用が高額になる傾向があります。治療費用については、事前に保険やクリニックと相談する必要があります。
  3. 骨が作られるまでに時間がかかる: サイナスリフトでは骨の造成が必要であり、骨が作られるまでに半年程度の時間がかかる場合があります。治療期間が長くなることに注意しましょう。

以上がサイナスリフトのメリットとデメリットです。自分の状態や治療の希望に合わせて、適切な治療法を選択することが重要です。サイナスリフトは信頼性のある治療法であり、骨の厚さの不足による症例に適しています。ただし、手術範囲や費用、治療期間には注意が必要ですので、慎重に選びましょう。

 

まとめ

サイナスリフトは、インプラント治療において骨量不足を解消する有効な手術方法です。上顎部の骨が薄い場合でも、この手術により骨を増やすことができ、インプラントの固定を改善し、治療の成功率を高めることができます。ただし、手術には一定のリスクがあり、費用も高額になる傾向にあるため、専門家のアドバイスを得ながら、自分の状況に合った最適な治療法を選択することが重要です。サイナスリフトは、インプラント治療を受けたい多くの方々にとって、大きな可能性を秘めた治療法といえるでしょう。

よくある質問

サイナスリフトはどのような手術方法ですか?

サイナスリフトは、上顎洞の底部に骨補填材を使用して骨量を増やす再生療法や骨移植の手術方法です。通常、上顎部の骨が薄くなっている状態で行われます。

サイナスリフトが必要になるのはどのような場合ですか?

インプラント治療を希望する方で、上顎部の骨の厚みが5mm未満の場合や、大面積で多数の骨が欠損している場合にサイナスリフトが必要となります。これにより、インプラントを適切に固定し、治療の成功率を高めることができます。

サイナスリフトの費用はどの程度ですか?

サイナスリフトの費用は一般的に20万円から40万円程度ですが、手術の難易度や必要な骨補填材の量によって変動します。また、公的医療保険の適用外のため自由診療となり、個別のクリニックで相談する必要があります。

サイナスリフトにはどのようなメリットやデメリットがありますか?

サイナスリフトのメリットは、骨が薄い方でも手術を受けられること、広範囲の治療に向いていること、上顎洞粘膜損傷のリスクを低く抑えられることです。一方で、手術範囲が広いため痛みや腫れが出やすく、費用が高額で治療期間が長い点がデメリットです。

この記事を監修した人
山崎 英彦

札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。

  • 日本歯周病学会指導医
  • 日本臨床歯周病学会指導医
  • 日本糖尿病学会協力歯科医
  • 日本歯周病学会認定研修施設

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