歯周病の進行ステージ(Stage分類)をわかりやすく解説
札幌市中央区の「札幌 歯周病・予防歯科」で院長を務めております山崎英彦です。歯周病は、自覚症状が乏しいまま進行し、気づいたときには大切な歯を失ってしまう恐れのある病気です。当院では、日本歯周病学会および日本臨床歯周病学会の指導医・専門医として、多くの患者さんの歯を守るための治療に全力を注いでいます。札幌駅や大通駅からほど近い当院には、他院で抜歯が必要と言われた重症の患者さんも多く来院されます。
近年、歯周病の診断基準は世界的に新しくなり、進行度を表すStage(ステージ)と、進行スピードを予測するGrade(グレード)という分類が用いられるようになりました。この記事では、患者さんがご自身の状態を正しく把握し、適切な治療を選択できるよう、この新しいステージ分類についてわかりやすく解説します。私たちが目指すのは、生涯にわたってご自身の歯で食事を楽しんでいただくことです。そのための第一歩として、まずは現状を知ることから始めましょう。
歯周病の進行ステージ(Stage分類)に伴う主な自覚症状
歯周病のステージは、主に歯を支える骨(歯槽骨)がどれくらい溶けてしまったか、そして何本の歯を失ったかによってⅠからⅣまでの4段階に分けられます。ステージが進むにつれて、お口の中に現れる症状は深刻になっていきます。ご自身の症状がどこに当てはまるか、確認してみてください。
歯周病の詳細な症状については「気付かないうちに進行しています~歯周病~」のページも併せて参照してください。
初期から中等度(ステージⅠ・Ⅱ)に見られる症状
ステージⅠやⅡの段階では、歯肉の腫れや出血が主な症状です。痛みがないことが多いため、見逃されやすい時期でもあります。
- ブラッシングをしたときに歯ブラシに血がつく
- 朝起きたときに口の中がネバネバする
- 歯肉が赤く腫れている箇所がある
- 歯の隙間に食べ物が詰まりやすくなった気がする
重度(ステージⅢ・Ⅳ)に見られる症状
ステージⅢ以上になると、歯を支える土台が大きく損なわれているため、日常生活に支障が出るほどの自覚症状が現れます。この段階は、放置すると次々と歯を失うリスクが高まる非常に危険な状態です。
- 指で押すと歯がグラグラと揺れる感覚がある
- 歯肉から膿が出て、強い口臭を感じる
- 歯肉が下がり、以前よりも歯が長く見える
- 硬いものを噛むと痛みがあり、しっかり噛めない
- 歯並びが以前と変わってきた(出っ歯になった、隙間が空いたなど)
歯周病を悪化させる原因と進行を早めるリスク因子
歯周病の直接的な原因は、プラーク(歯垢)の中に潜んでいる歯周病原性細菌による感染です。しかし、なぜ人によって進行のステージが異なるのでしょうか。そこには、細菌の量だけでなく、個々の患者さんが持つリスク因子(病気の進行に影響を与える要因)が複雑に絡み合っています。
細菌による感染と免疫反応の仕組み
お口の中の清掃が不十分だと、プラークが溜まり、細菌が毒素を出して歯肉に炎症を引き起こします。これに対抗しようとする体の免疫反応が過剰になると、皮肉にも自分自身の組織である歯槽骨を溶かしてしまうのです。これが歯周病のメカニズムです。
進行を早める主なリスク因子
同じように汚れが溜まっていても、特定の要因があるとステージは急速に進行します。当院では、以下の因子を考慮しながら、一人ひとりに合わせた管理計画を立てています。
| 喫煙 | 血管を収縮させ、酸素供給を妨げるため、炎症が進みやすく治りにくくなります。 |
|---|---|
| 糖尿病 | 免疫力が低下し、高血糖状態が細菌の増殖を助長します。 |
| 歯ぎしり・食いしばり | 歯を支える組織に過度な負担をかけ、骨の破壊を加速させます。 |
| 不適合な被せ物 | 汚れが溜まりやすく、細菌の温床となります。 |
新しい国際基準による歯周病のステージ分類(StageⅠ〜Ⅳ)
2017年に発表された新しい国際分類に基づき、歯周病の状態を4つのステージで評価します。これは、がんの進行度分類に似た考え方で、現在どれだけ組織が失われているかを示す指標となります。
ステージⅠ(初期歯周炎)
歯を支える組織の破壊が始まったばかりの段階です。レントゲン検査では、根の長さの15パーセント未満の骨吸収が認められます。歯周ポケットの深さは4ミリメートル以下であることが多く、この段階で適切な処置を行えば、健康に近い状態に戻すことが可能です。
ステージⅡ(中等度歯周炎)
炎症がさらに進み、根の長さの15パーセントから33パーセント程度の骨が溶けてしまった状態です。歯周ポケットは最大で5ミリメートル程度になります。早期の治療介入が歯を長持ちさせる鍵となります。この段階までは、比較的シンプルな治療で進行を食い止めることができます。
ステージⅢ(重度歯周炎)
骨の吸収が根の長さの33パーセントを超え、歯を失うリスクが極めて高い状態です。すでに歯周病によって歯が4本以下抜けてしまっている場合もこのステージに含まれます。歯周ポケットは6ミリメートル以上と深く、複雑な処置が必要となります。放置すればさらに多くの歯を失うことになるでしょう。
ステージⅣ(広範な破壊を伴う重度歯周炎)
ステージⅢの状態に加え、多くの歯が失われたことで噛み合わせが崩壊してしまった最重度の段階です。歯が5本以上失われている、あるいは全体の噛み合わせを再構築しなければならないケースが該当します。専門的な知見に基づいた包括的な治療が求められます。
歯周病のステージに合わせた適切な治療ステップ
札幌市中央区の当院では、日本歯周病学会専門医・指導医の知見を活かし、ステージに合わせた最適な治療を提供しています。私たちの大きな特徴は、重度のステージであっても、可能な限り非外科的歯周治療(メスを使わない治療)を優先する点にあります。
治療の流れや方針については「歯周病専門外来」のページで詳しく説明しています。
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徹底したプラークコントロールとスケーリング
すべてのステージにおいて、治療の土台となるのがプラークコントロールです。当院では認定歯科衛生士とチームを組み、患者さんの生活習慣に合わせたブラッシング指導を徹底します。その上で、専用の器具を用いて歯石を除去するスケーリングを行います。 -
ルートプレーニングと抗菌療法
歯周ポケットの奥深くにこびりついた歯石や細菌の毒素を除去するのがルートプレーニングです。当院では、必要に応じて抗生剤を併用する抗菌療法やレーザー治療を組み合わせ、歯肉を切ることなく深いポケット内の細菌を徹底的に除菌します。このアプローチにより、多くの難症例で良好な予後(治療後の経過)が得られています。 -
高度な歯周外科治療(MIST)
非外科的な処置だけでは改善が難しい場合、最小限の侵襲で済むMISTと呼ばれる低侵襲な外科手術を検討します。これは、顕微鏡などを使用して小さな切開で組織の再生を図る手法です。不必要に大きく切ることはせず、体への負担を最小限に抑えます。外科処置の詳細は「当院で行う歯周外科:MIST」のページを参照してください。 -
定期的なメンテナンス(SPT)
治療によって症状が落ち着いた寛解の状態を維持するためには、生涯にわたるメンテナンスが欠かせません。歯周病は再発しやすい感染症ですが、プロフェッショナルによる定期的なチェックとクリーニングを続けることで、健康な状態を長く保つことができます。
治療費用の目安
当院では保険診療を基本としていますが、より専門的な高度治療を希望される方のために、自由診療による専門外来も設けています。患者さんの納得を第一に考え、無理な勧誘は一切いたしません。
| 治療項目 | 費用の目安(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 保険診療による歯周治療 | 3,000円 - 10,000円程度 | 窓口負担3割の場合の目安 |
| 歯周病専門外来(初診・精密検査) | 22,000円- | 自由診療(検査・診断料) |
| 専門的非外科治療(1顎) | 55,000円 - | 自由診療(徹底的な除菌) |
| 歯周組織再生療法(1部位) | 88,000円 - | 自由診療(薬剤費別途) |
費用の詳細は「歯周病専門外来の費用」のページでご確認いただけます。
歯周病のステージ分類に関するよくある質問
Q1. 痛みがないので、自分がどのステージか分かりません。
A1. 歯周病は静かなる病気と呼ばれ、ステージⅡ(中等度)までは痛みを伴わないことがほとんどです。レントゲンを撮り、歯槽骨の吸収度合いを確認しなければ正確なステージは判別できません。札幌駅近くの当院では、精密な検査を行い、現在のステージを視覚的にわかりやすくお伝えしています。
Q2. ステージⅢやⅣと言われたら、必ず歯を抜かなければなりませんか?
A2. いいえ、必ずしも抜歯が必要とは限りません。当院ではできる限り歯を残すことを理念としています。日本歯周病学会の指導医として、他院で抜歯と診断された症例でも、徹底した除菌や再生療法によって保存できる可能性を追求します。あきらめる前にぜひご相談ください。
Q3. 一度進んでしまったステージは、治療でステージⅠに戻りますか?
A3. 溶けてしまった骨を完全に元の形に戻すことは、現代の医学でも非常に困難です。しかし、治療によって炎症を止め、病気の進行を停止させる寛解の状態に導くことは可能です。現状のステージを維持することが、将来歯を残すための現実的で大切な目標となります。
Q4. ステージ分類に加えて言われる「グレード」とは何ですか?
A4. ステージが「現在の破壊の程度」を示すのに対し、グレードは「今後の進行しやすさ」を示す指標です。喫煙習慣や糖尿病の有無、これまでの骨の溶け方から判断します。グレードが高い場合は、より頻繁なメンテナンスや徹底した生活習慣の改善が必要になります。
院長よりメッセージ
歯周病のステージ分類と聞くと、少し難しく感じられるかもしれません。しかし、ご自身の現在の立ち位置を正しく知ることは、10年後、20年後も美味しく食事をするために避けては通れないステップです。私たちは、単に数値を測定するだけでなく、その数値が患者さんの将来にどのような意味を持つのかを真剣に考え、丁寧な説明を心がけています。
札幌北1条駅前通りビル9Fにある当院には、北海道内でも数少ない歯周病指導医・専門医が在籍しています。私たちの強みは、エビデンス(科学的根拠)に基づいた高度な治療を提供しながらも、決して患者さんの気持ちを置き去りにしない姿勢です。重度のステージであっても、不必要に切ったり抜いたりせず、まずは非外科的な手法で組織の回復を促す道を模索します。
「もう抜くしかないと言われた」「ずっと通っているのに良くならない」そんな不安を抱えている方は、ぜひ一度私たちのクリニックを訪ねてみてください。地下歩道7番出口からすぐの便利な場所にあります。皆様が一生自分の歯で生活できるよう、私たちはプロフェッショナルとして、誠心誠意サポートさせていただきます。
セカンドオピニオンに関するご相談は「メール相談」のページからも受け付けております。
札幌 歯周病・予防歯科 院長
歯周病治療および予防歯科を重視し、口腔の健康を目標とした治療を心がけています。
- 日本歯周病学会指導医
- 日本臨床歯周病学会指導医
- 日本糖尿病学会協力歯科医
- 日本歯周病学会認定研修施設
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